【貯まり行く内部留保】ネットキャッシュ比率1以上 銘柄選び実践 3954 昭和パックス

ネットキャッシュ比率が高い銘柄の中から、次の投資候補を探します。

3954 昭和パックス を取り上げます。2025年3月2日(日)時点のネットキャッシュ比率(投資有価証券は考慮しない)は1.24です。

クラフト紙袋やフィルム製品を手掛ける、産業包装のトップ企業です。

重包装用紙袋
粉粒用コンテナ
工業用フィルム
包装機装置システム

IR BANK より各種業績データをお借りします。

売上高は基本的に横這いです。

今後の見通しに関しては、2/10(月)に発表された25年3月期の第3四半期決算において、「当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、前年同期に比べると増収増益の結果となりました。第2四半期に引き続き販売数量はやや回復しましたが、賃上げや高止まりする諸経費などにより経営環境は厳しさを増しております。第4四半期以降は引き続き販売数量の伸長、採算の確保、諸経費の抑制に努めて利益率を向上してまいります。」とされています。

前年同期比の連結業績は、売上高+7.9%、営業利益+67.0%、純利益+66.0%。通期は売上高+8.5%、営業利益+15.5%、純利益+17.4%に据え置いています。目先は順調のようです。


利益状況です。

近年は伸び悩んでいますが、安定して200以上を維持しています。・・・褒め方としては少し苦しいでしょうか。

長年、売上原価率は81~85%、販管費率は12~13%辺りを推移しており、増えていく傾向も、減っていく傾向もないように感じます。この点でも安定していると言えるかもしれません。

クラフト紙の価格は、原燃料費上昇によるコスト高を理由として値上がりした後、高止まりしているとのことで、今後、この均衡が崩れる可能性はあります。インフレの波はこちらにも押し寄せています。


財務状況です。

全体的に非常に好印象です。

現金等の推移からも、内部留保が着実に貯まっている様子が見て取れます。

自己資本比率は右肩上がりで、08年3月期には42.89%でしたが、24年3月期には69.2%まで上昇しています。有利子負債比率は右肩下がりで、08年3月期には45.87%でしたが、24年3月期には5.39%まで低下しました。残債の12億4150万円も、完済しようと思えばすぐにでも実行できるのではないかと思われます。

確認できる限りの08年3月期以降、営業CFも毎期黒字で、非常に健全な経営を続けておられます。トップ企業の貫禄といったところでしょうか。


株価の推移です。

2018年6月に上場来高値2,318を付けて以降、長い期間での上下動を繰り返しています。

直近では、日足チャートから判断するに、2/10(月)の決算発表は株主の皆様の御眼鏡に適う内容ではなかったようで、発表前の上昇分が2/28(金)時点で帳消しになっています。


配当に関しては、10年3月期以降、増配が6期、維持が8期、減配無しと、ここも安定しています。ですが、3/2(日)時点でPERが7.0であるのに対し、予想年間配当利回りは2.25%と、配当目的で保有するには別の候補銘柄が頭を過ぎる数値となっています。

恐らくですが、こちらの銘柄に期待する事としては、増収や増益による割安感の上昇ではなく、このまま堅実な経営を続けた結果貯まる流動資産により、ネットキャッシュ比率が増加していくことによる割安感の上昇の方が筋が良いのではないかと考えます。

いずれにしても、保有が報われるまでには長い歳月を要すると思われます。本来投資とはそういうものだと言われればそれまでですが。

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